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作品の魅力を広める取り組み―国内コンテンツと海外アーティストのコラボレーションの舞台裏

最近話題のアニメやドラマの主題歌などで、洋楽作品の採用機会が増えてきています。その背景には洋楽を取り巻く様々な変化と、それに関わるスタッフの日々のチャレンジがあります。今回はそれらの取り組みを紹介します。

談:Universal Internationalレーベルヘッド 川﨑たみ子

洋楽の魅力を“オーガニックに”届けたい

約3年間に及ぶコロナ禍で、エンタテインメント産業全体が大きな影響をうけました。音楽の楽しみ方も大きく変化し、なかでも洋楽は特にその影響を強く受けたジャンルの一つかもしれません。
人の往来が制限される一方、各種ストリーミングサービスの認知度があがり普及が進みました。ショート動画サービスからのヒット曲が増加したのもこの時期です。アルゴリズムの進化でタイムラインに並ぶ楽曲や動画は個人の視聴履歴や好みが反映されるものが多くなりました。
また、アーティスト本人や多くのユーザーがSNS上に楽曲を使ったショート動画を作成・投稿し、楽曲やアーティストとの接点が増えました。その一方、特に海外アーティストは言語的・地域的な距離も影響し日本の音楽ファンとの接点が減ってしまったことも事実です。
そこで楽曲やアーティストの魅力を“オーガニックに”発見してもらえるようなきっかけづくりの一つとして、コラボレーション施策などの取り組みを始めました。ドラマやアニメとのタイアップを行う「IPコラボレーション」、洋楽・邦楽アーティストによる「コラボレーション楽曲」など、SNSユーザーのタイムラインに楽曲を届けられるような取り組みを行っています。

洋楽部門/Universal Internationalでは、タイアップやコラボレーションのための専門部署も立ち上げています。海外のアーティスト・レーベルに対しては、まずは日本の音楽市場やトレンドなどについて紹介します。さらに楽曲が日本の作品の主題歌に採用されることの重要な点として、映像配信サービスなどを介してグローバルのファンへ楽曲を届けられることなども最初に伝えています。
ビジネス慣習などについても理解を深めてもらいながらコミュニケーションを継続し、作品の完成まで日本からアーティストのサポートを行います。
作品づくりには、コラボレーション作品へのリスペクトを感じられることが最優先ですが、アーティストの熱量も大切な要素です。担当者はアーティストのSNSでの発信やライフスタイルやどんなことが好きかなどを理解した上で、アーティストにコラボレーションの機会を提案するようにしています。
洋楽が国内で受け入れられる土台づくりに取り組むとともにアーティストにとっての日本の窓口の役割も担えるように努めています。

では、実際にどのような流れで様々な企画が実現するのか、事例をもとにご紹介していきます。

ヤングブラッド × アニメ『怪獣8号』

ワンリパブリック × アニメ『怪獣8号』

4月より放送がスタートしたアニメ『怪獣8号』。そのオープニングテーマをイギリス出身の「YUNGBLUD (ヤングブラッド)」が、エンディングテーマを2002年に結成された6人組ポップ・ロックバンド「OneRepublic(ワンリパブリック)」が担当しています。
海外レーベルに、日本発のアニメ作品への楽曲の書き下ろしを打診するのは初の試みでした。

アニメ化にあたっては、作品の海外への広がりも視野に入れ、プロデューサー・チーム内で洋楽楽曲を主題歌にすることが当初から検討されていました。洋楽楽曲を主題歌にすることが当初から検討されていました。ユニバーサル ミュージックでも海外の各レーベルに対してアニメが好きなアーティストがいないかリサーチを行い、作品の世界観やアーティスト側のプロモーションのタイミングなどについて各国のレーベルと相談を重ねた結果、日本のカルチャーに造詣が深い「YUNGBLUD」、映画『トップガン マーヴェリック』の劇中歌が大ヒットした「OneRepublic」の参加が決定しました。
オープニング曲の「Abyss(アビス)」は、当初共作としてクレジットされているロックバンド「IMAGINE DRAGONS(イマジン・ドラゴンズ)」が中心となって制作していましたが、IMAGINE DRAGONSとも共演経験がある「YUNGBLUD」に来日中に声をかけたところ、プロジェクトへの参加が決まりました。彼自身が日本のアニメやコミックのファンだったことも大事な要素でした。
そこから「IMAGINE DRAGONS」が制作を手掛けていた楽曲をベースに「YUNGBLUD」のソロ曲として東京のスタジオでレコーディング、以降ロンドンのスタジオとリモートでやりとりしながら楽曲制作を進めました。

これまで日本のドラマやCMなどに洋楽曲を使う際には、広く知られている大ヒット楽曲などから選ぶことが多く、邦楽のようにアーティストが作品に当て書きで曲を作ることはほとんどありませんでした。今回『怪獣8号』では、アーティスト側にも英語版の原作を送り、作品への理解を深めてもらうよう伝えて原作をイメージした楽曲、歌詞を目指しました。
音楽会社が日本で海外の楽曲を発売する場合、通常は作品が完成してから国内向けにマーケティングやプロモーションを担当しますが、今回は作品の制作の段階から携わることでアニメの世界観を取り入れることができ、アーティストと作品どちらの期待にも応えられる楽曲となりました。

ミイナ・オカベ × 月9ドラマ「ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~」

ミイナ・オカベ × アニメ『花野井くんと恋の病』

洋楽部門では世界的に活躍するアーティストを日本に紹介するだけではなく、日本で独自にアーティストの発掘もおこなっています。
その代表的な例が、デンマーク人の父親と日本人の母親を持ち、コペンハーゲンを拠点に活動するシンガー・ソングライター「ミイナ・オカベ」です。日本を第二の故郷とするミイナが来日したタイミングで本人にコンタクトをとり、アーティスト活動に対する熱意などをお互いに確認しながら、日本での活動をスタートすることになりました。
海外で人気の楽曲でも日本では、言語や文化的な背景の違いなどで楽曲の魅力を伝えづらい場合もある一方で、過去には日本から人気に火がつき世界的なアーティストになった事例も複数ありました。
ミイナ本人とも話し合いを重ね、メディア向けにお披露目の機会を設けプロモーションを展開していきました。そこから月9ドラマ『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』のタイアップのお話をいただき、起用に至りました。Daichi Yamamoto、プロデュースに小袋成彬を迎えたコラボレーション楽曲としてリリースしたことで邦楽ファンの方々や国内メディア関係者からの認知度が上がり、問い合わせを多くいただくようになった結果、アニメ『花野井くんと恋の病』の主題歌にも起用されることになりました。

より多くのリスナーに洋楽の魅力を届けたい

これらの取り組みはどれも大きな反響をいただいており、今後も様々な仕掛けを企画しています。海外アーティストとのコラボレーション企画を実現できるのはユニバーサル ミュージックの一番の強みでもあり、邦楽・洋楽アーティストの交流やファンの皆さんとの接点を増やし、アーティストや楽曲の魅力を発信していければと考えています。
日本のアーティストの海外でのヒット、洋楽アーティストの日本でのヒットを同時に実現できるといいですね。
映像やアニメ作品とのコラボレーションを通して作品の魅力とともに世界中の素晴らしいアーティストや楽曲を聴いてもらえるよう今後もさまざまな企画を展開していきますので、ぜひご期待ください!


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