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【社員インタビュー】情熱とロジックの両輪で目指す新たなヒットづくり

2011年に新卒でユニバーサル ミュージックへと入社した南薗 啓介。10年目を迎えた現在はEMI Recordsに所属し、アーティストのマーケティングプランの企画・立案業務を担当するMP(マーケティングプランニング)を担当しています。音楽もアナログからデジタルに変化する時代の中で生じた変化とは──

※2020年7月 talentbook記事

音楽が大好きだからこそ目指した、レーベルの世界

──自分が好きな音楽を誰かに聞いてもらって、一緒に同じ感動を味わえることに、この上ない喜びを感じたんです。

そう語るのは、EMI Recordsでアーティストのプロモーション戦略を行う南薗 啓介。

自他ともに認める音楽好きとして、学生時代から音楽と共に歩む生活を送ってきました。

南薗 「高校時代から自身でもバンド活動をやっていて、一時はそちらで食べていくことも考えました。しかしその一方で、好きなアーティストの音楽を聴いたりライブを見たりする方が、自分の心が動かされているのに気が付いたんです」

そうした思いを胸に、2011年にユニバーサルミュージックへと入社した南薗。営業部へと配属され、邦楽・洋楽、クラシック、ジャズ、カタログと呼ばれる過去に発売した旧譜作品など、会社全体でその時々に発売されている商品を店舗ごとにお店のカラーや売れ筋にあわせて提案していきます。

南薗 「音楽が好きで入社したこともあり、最初はレーベルの仕事、制作に携わりたいと思っていました。ただ、いざ営業をやってみると、実際に作品を購入していただけるお客様との接点もありましたし、音楽ビジネス全体の流れも理解できて、非常に価値のある経験ができたと思います」

その後、2012年には全国に多数の店舗を展開する大手CDショップの主幹営業に。各店舗を担当する立場から、より高いレイヤーで全国の店舗にいかに多くの当社の商品を展開できるかを任されるようになります。

南薗 「全国展開している大手CDショップの本部とやり取りをすることになったのですが、相手の担当者は歴戦の強者。キャリアも経験も違う相手と会社を代表して交渉するなんて、入社2年目の自分に任せて大丈夫なのか?とも思いました(笑)。

ただ、相手先の会社も私が新人だからといって甘やかすことなく、真正面からビジネスをしてくれたのがうれしかったですね。大変なことも少なくなかったですが、このときの経験が、社会人としての地力を伸ばしてくれたように思います。彼らとは今でも折々情報交換がてら交流が続いています」

そして2014年、当時の上司からの誘いを受け、新設された邦楽デジタルマーケティング部へと異動。活躍のフィールドを、アナログからデジタルへと移していきます。

「正直デジタルは嫌いだった」新しい時代の潮流と自身の変化

南薗 「実は最初に異動の話をいただいたときは、異動は嫌ですと言ってしまいました(笑)。元々CDが好きだというのもありましたし、やっぱり現物あっての音楽じゃないか、という風に思っていましたから」

しかし、新しいチームで仕事をする中で、南薗の心にも変化が現れます。

南薗 「デジタルネイティブ世代という言葉が普通になってきたように、音楽の主戦場もデジタルの世界へ移り変わってきています。時代は絶えず変化しており、その時流を捉えることができなければ、良い作品を世に出すことはできません」

業務の中でも重要な仕事のひとつは「新人のヒットをいかにしてつくるか」ということ。そこにはデジタルとアナログを対比の関係に置いておく意味はあまりなく、作品やアーティストに対するユーザーを、どのようにつないでいくかを考えることこそが重要であるということに気付いたと言います。

南薗 「こうした目線で見るようになると、アナログやデジタルという区分を分ける言葉自体が、あまり意味のないものであるように思いました。

遊びに行ったときなども、行列をつくっているお店は他と何が違うのか、どういう見せ方やきっかけ作りをしているのか、お店ごとの戦略や考え方、そして消費者の感じ方などが見えてきます。

どこにだって仕事のヒントはありますし、それをいかにキャッチアップできるかが、私たちに問われていることなんだな、と」

音楽にとどまらず、世の中でヒットしているもの、ブームになっているものには必ず理由があり、それが私たちの仕事のヒントになる。この気付きが、南薗にとって大きな転機となったのは間違いありません。

火種を逃さず熱量を届ける

2015年、邦楽デジタルマーケティング部の解体にともない邦楽レーベル、EMI Recordsのデジタル部に異動。2年間の経験を経て、現在はMP(マーケティングプランナー)として活躍しています。

南薗 「仕事は、ひと言で言うと作品ごとのプランニングです。ダウンロードやストリーミング、音楽番組、ラジオ、Web媒体、雑誌など、音楽に関わる媒体は多岐に渡ります。

その中で、アーティストの作品をどのように世の中に届けるべきか検討し、デジタルや宣伝など、それぞれの担当部門と連携して楽曲をより広く世の中に届けられるように取り組んでいくのです」

現在は「ずっと真夜中でいいのに。」「PEDRO」、以前は「C&K」「ハジ→」など複数のアーティストを担当している南薗。楽曲ごとにプロモーションやマーケティングの施策を考えています。

南薗 「印象に残っているのは「C&K」のプロジェクトですね。2017年に『Y』というシングルをリリースしたときに、紅白出場を目標に1年間活動しました。この曲はバラードで、歌詞も感情に訴えかけるものだったので、20代後半から30代前半の女性をターゲットに絞ったんです。

1回の接触でどれだけ楽曲との距離を近づけるかを考え、ミュージックビデオとは別にプロモーション用の動画を制作しました。「泣ける動画」の曲、としてプロモーション活動を行いました。あわせて街鳴りと呼ばれる街中や店頭、またWeb上などでもよく耳にする状況になるよう、接触回数を増やす点も注力しましたね。

結果、音楽検索アプリShazamでも反応が出てきたりして、じわじわ反応が出てきてうまく広がっていきました。残念ながら紅白出場はかないませんでしたが、雑誌で「紅白に出場してほしいアーティストランキング」で2位になったり、音楽チャートで13冠を獲得したり、Shazam Japanのチャートでは邦楽の年間1位を獲得できました」

アーティストや作品によっても強みやプロモーションのカギが異なるため、流行やタイミングを見て仕掛けるのがポイントだと南薗は語ります。TwitterやYouTubeのコメント欄などをくまなくチェックし、火種を見つけたら、プロモーションにもスピード感と勢いが必要。

コンテンツをつくり、さらにそれを広げる作業をチームで取り組んでいます。また、当初想定していたターゲットとは異なる層が反応していたら、一気に方向転換するという柔軟性も大切にしています。

南薗 「大事にしているのは熱量です。スタッフが熱量を持って活動するのは大前提として、その熱量を発信することで、ファンにも伝播していくものだと思います。

一方で、俯瞰して観察する姿勢も重要です。私たちのアプローチと世の中のチューニングがズレていないかを確認し、課題があれば指摘する。追いかけている人たちがちゃんと反応する球を投げられているかと考えるのは、もはや癖になっていると言えますね」

好きなことを仕事にできる喜びをかみしめ、新しい挑戦を続ける

レーベルならではの仕事の楽しさが、やりがいにつながっていると南薗は笑顔を見せます。

南薗 「これは特権だと思いますが、アーティストの作品を最初に聴けるのはやはり嬉しいですね。すごい曲のときは、音楽ファンとして興奮しますし。新曲のミュージックビデオを公開した瞬間の、みんなの反応を見るのも楽しいです」

今後の目標は、新人アーティストと共に新しい形のヒット作をつくり上げること。ゼロから生み出すのは非常に難易度が高いものです。だからこそ、ハマったときの喜びはひとしおだと語ります。

南薗 「正直0から1を生み出すよりも、1を2、3にしていく方が得意なんですけど、難しい仕事の方が燃えますね。

また、今は新型コロナウイルスの感染拡大の件もあり、難しい時期ですが、ゆくゆくはライブイベントとあわせての展開にもしていきたいと思います。実は、生粋のフェス好きなので(笑)」

南薗は「おもしろいことにはなんでも挑戦していきたい」と語ります。趣味として好きなことを、仕事として取り組めるは大きな喜びにつながります。エンタメ業界が手がける領域は幅広く、だからこそ、なんでもできる環境が整っているのでしょう。

( Text by PR Table / Photo by 杉浦弘樹(foto))