【社員インタビュー】音楽が持つ力を信じて──
ユニバーサル ミュージックの岡崎 芽意は「音楽でより良い未来をつくりたい」という想いを胸に、幅広い世代へ音楽を届ける仕事をしています。彼女の業務内容や仕事への取り組みについて紐解いていくと、彼女の音楽に対する強い希望が垣間見えてきました。企画から営業、制作、販売まで商流のすべて一貫して取り組む開発本部の仕事とあわせてご紹介します。
※2021年1月talentbook掲載記事
オリジナル商品の企画や新しい販路の開拓で可能性を広げる
ユニバーサルミュージックの開発本部──。
この所属名を聞いて、仕事内容を正確に思い描くことは難しいかもしれません。
一般的には技術開発などがイメージされがちですが、ユニバーサル ミュージックでは、レコード店以外のあらゆる法人を対象に商品を企画・販売する部門で、販路と企画を「開発」することに取り組んでいます。
制作編成グループで働く岡崎は、2010年に出版社からユニバーサル ミュージックへ転職して以来、開発本部一筋のキャリアを歩んできました。
開発本部の主な取引先は、出版社や通販会社、学校関係や音楽教室などユニークなクライアントとなると寺社など多岐にわたります。たとえば高速道路のサービスエリアやスーパーの催事場で販売しているCDなども、そのために制作したオリジナル商品です。
2021年現在、岡崎は主にテレビ通販会社を担当しています。テレビ通販を見て商品を買う顧客の多くは、ミドル・シニア層。取り扱う商品はCDを中心とした邦楽・洋楽・クラシック・ジャズと、オールジャンルです。
岡崎 「複数のテレビ通販会社とやりとりしていますが、イメージしていただきやすいのは、2002年からBSを中心に放送している番組『音楽のある風景』でしょうか。懐かしい音楽に合わせた映像とともに商品をご紹介する番組で、お陰様で現在に至るまで18年間放送が続いています。
TVの通販番組は基本的に、音楽商材に限らず取り扱う商品は幅広いですよね。販売されている商品すべてに言えることですが、企画の提案から販売までさまざまな施策が重ねられてようやく全国放送へ至ります。決して楽なことではありませんが、ヒットした時のパワーは絶大です」
岡崎はメインで担当するTV通販番組は、商品企画や営業、価格交渉、制作、物流、インフォマーシャルといったすべての流れの全体を管理しています。
岡崎 「商品の企画から販売まで一通りの流れを把握していることが、問題やチャンスを見つけるきっかけになると感じています。
営業を行うことで担当クライアントが意識していなかったニーズを引き出して商品を制作することもできますし、制作しているからこそ商品の特性を生かした販促のアイディアも湧いてくるんです。コールセンターと戦略的な受注方法や利益アップの施策を話し合うことも行います」
人それぞれ思い出や記憶に残っている作品や音楽を届けたい
音楽商品に限らずひとつの商品や作品の企画から販売まですべての工程に携わることは、簡単ではありません。岡崎は、商品や顧客を愛する心を常に持つように心がけています。
岡崎 「多くの工程に関わるからこそ、大変だと思う瞬間もありますが、商品がお客様に届いた先のことを考えながら取り組んでいます。テレビ通販の顧客はシニア層の方がメインなので、購入していただいた作品についての感想や楽曲との思い出などとあわせてお礼のお手紙が届くことも多いんです。
たとえば、『気分が沈んでいたときにテレビをつけたら、自分たちが青春時代に妻と一緒に聞いていた曲が流れていて、涙が止まらなかった。ありがとう』『毎日ディスコのCDをかけながら、踊っています!これからも良い商品を作ってください』など、直筆のお手紙を通してお客様それぞれの想いを感じられる機会があるのがこの仕事のおもしろさややりがいにつながると思います。
寄せられる手紙や感想を見ていると、どんなトラブルが起きてもちゃんと商品をゴールまで持っていこうとモチベーションが高まりますね」
ストリーミング配信など手軽に音楽や映像を楽しむ人も増えていますが、CDやアナログ盤などのジャケット写真やライナーノーツなどを含め音楽作品を所有する形で楽しまれる音楽ファンもいらっしゃいます。また、特にシニア層にとっては長年親しんできたCDのフォーマットが音楽を楽しむ手段として長く人気が続いています。
岡崎 「開発本部では、紙のカタログも年に4回発行しています。発行当初はCDばかり載っている紙のカタログは、正直ニーズがあるのか不安な部分もありました。でも、このカタログ経由で商品を購入いただくお客様が多くいらっしゃることが注文の数にもしっかりと表れていることで、自分たちのつくっている作品への需要があることを実感しました。
また、インターネットで購入に不安がある方にも無理なく選んでもらえるような選択肢を用意したい、と常に模索しています。
過去の名曲たちを新しい切り口やコンセプトでご紹介することで、あらためて作品や歌手の魅力をお客様に発見してもらうことができるのではないか、と考えているんです。優れた楽曲は時代を超えて愛されていますが、1曲でも多くそうした作品を伝えていくことも私たちの使命だと感じています」
祖母と実感した音楽の力
岡崎が音楽を届けたいと考える背景には、「音楽が持つ力」を信じる強い想いがあります。
岡崎 「音楽って世の中を明るくしてくれる光のようなものだと思うんです。もちろん一度にすべてを照らすことは出来ませんが、スポットライトのようにいろいろな人の場面に光を照らしてくれるように感じます。
災害など非常時は特に、音楽やエンタメはどうしても後回しになることもことがありますが、エンタメそのものはどんな時でも絶対に必要だと思います。
私にとって音楽とは人の心を豊かにする役割としてとても重要な役割を担う大切なものなんですよね。ちょっと飛躍していると思われるかもしれませんけど(笑)。音楽の力はより良い世界をつくる一助になると、信じています」
岡崎は自身の経験として音楽の持つ力を強く感じることがありました。
岡崎 「これまで音楽にはあまり興味がなかった祖母が病気になってから歌うようになったんですが、信じられないくらい下手だったんですよね(笑)。最初はお経でも唱えているのかと思いました。
本人に話を聞いてみたら、『下手だから恥ずかしくて言えなかったけど、実は歌が大好きだった』と言っていて。そこで、私たちがつくっている懐かしい曲が入ったCDを流してあげたら、すごく嬉しそうに歌ってくれました。
病気のせいで性格が気難しくなってしまった祖母の、表情も柔らかくなったんですよね。そんな祖母の姿を見て、実感としてやはり音楽は人を救ってくれるんだと思いました」
必要な人に作品届け続けるための戦略を模索し続ける
岡崎は開発本部で仕事を進める際、いつも仲間のありがたみを感じています。
岡崎 「ミスがあったときはフォローし合い、みんなで解決しようとする文化があります。今の時代にあわせてテーマや作品をアップデートした形で商品化にむけて、企画を立てることも多いです。そのようなときは先輩やその分野に詳しい同僚がノウハウや成功例、失敗例も含めて積極的に情報を共有してくれます。
アットホームで人を育てようとする雰囲気があり、恵まれた環境で仕事ができていると思いますね」
近年では時代に合った新しい所有型のビジネスモデルの構築を目指しています。たとえば、オーディオ機器メーカーと協力してポータブルプレーヤーとCDをセットにして販売するキャンペーンを行いました。
岡崎 「このキャンペーンによって、プレーヤーとCDの売上アップはもちろん、プレーヤーを手にしたことで更に他のCDも購入する意欲を高められたという、相乗効果が起きました。今はプリインストール商品にも力を入れています。
サブスクリプションサービスを使う世代の方には不要かもしれませんが、オンライン環境を苦手とするシニアの方々にとってプリインストールは使いやすいという声をいただいています。
こうしたこれまではあまり気づかなかったニーズも開拓することで、音楽を聴く方法の選択肢を増やしたい。気軽に音楽を聴ける方法を提供することで、少しでも音楽を楽しんでいただける人が増えるように新しいことにもチャレンジしていきたいです。
今後は、社内外問わず、いろいろな人たちとコラボレーションすることで音楽をより身近に楽しんでいただけるような環境を増やすためのお手伝いをしていきたいですね」
岡崎は自身が実感した音楽の力を開発部門の業務を通して、広く伝えていきたいと日々尽力しています。