UNIVERSAL MUSIC STORE HARAJUKU オープン1周年記念インタビュー 後編:運営スタッフが考えるストアの未来
昨年10月、原宿竹下通りにオープンした『UNIVERSAL MUSIC STORE HARAJUKU』(以下UMSH)。前回に続き、立ち上げから関わっているPOP-UP&Retail事業部部長の堀内、店舗運営ディレクターの坂井、ストアのデータ分析を担当する永井が、この1年と今後の展望を語りました。
原宿竹下通りの新たなランドマーク
――UMSH1周年おめでとうございます。準備段階から振り返ると、どのようなことが印象に残っていますか。
堀内:UMSHは、ユニバーサル ミュージック グループ初のリアルストアです。専門部署もないので、社内横断プロジェクトとして立ち上がりました。社員全員が手探り状態でのスタートでしたが、今ではチームメンバー全員が「自分たちの店」という愛着を持って関わっています。
永井:私も普段はマーケティングの部署でデータ分析を担当しているので、リアルストアについては分からないことばかりでした。だからこそ、自分にできることは全部やろうと思いました。いろいろな部署の社員がそれぞれできることを持ち寄って一致団結して作り上げましたね。
坂井:私は、UMSHオープン後に入社しました。もともとライブ会場で販売するアーティストグッズを制作する会社にいたのですが、グッズから空間まで丸ごとアーティストの世界観を作れるポップアップストアの運営に携われるなんて、やりがいしかありません。半年経った今でも、毎日ワクワクしています。
堀内:オープン後の1年はあっという間でした。当初はブッキングがうまくいかず、お店が空になってしまう時期もあるのでは……と心配していたのですが、次から次へと企画が実現し、年間約35万人のお客さまが来店しました。想定以上の反響でした。
坂井:どのポップアップストアも、限られた時間でクオリティの高いものを準備するのは大変ですが、オープンした瞬間はいつも感動します。苦労したことを全部忘れてしまいますね。当初は想定以上のお客さまが来店し、長い行列ができてしまったこともありました。コンテンツによって人流が異なるのでなかなか読めないのですが、ファンの皆さまに安心して楽しんでいただくため、運営の知見も一つひとつ重ねています。永井さんのデータ分析も頼りにしています。
永井:どの企画もクオリティが高くて、坂井さんたちの思いがつまっていましたね。
堀内:回を重ねるごとにお店のクオリティがアップしていますよね。毎回、実験的に新しい試みを取り入れているので、進化し続けています。
永井:オウンドメディアでの発信も、より多くのお客さまに情報が届くようにいろいろな方法を試してきました。
ーー同じ場所でさまざまなアーティストのポップアップストアが入れ替わりで開催されること自体が珍しいと思うのですが、商業施設で開催されるポップアップストアとの違いは何だと思いますか。
堀内:UMSHでは、外観も内装も空間まるごとアーティストの世界観を作り込むことができます。また、世界から注目されているポップカルチャーの発信地、原宿竹下通りのど真ん中に位置していることにも、大きな価値があると考えています。
永井:データ分析をする立場から言うと、自社の店舗なので、定点で詳細なデータを得られるのが最高ですね。データ分析によって新たな知見がどんどん蓄積されているので、アーティストとファンの皆さんの接点づくりに役立てられそうです。
原宿を「音楽の街」に!
――原宿の街には馴染んできましたか。
堀内:UMSHを目的に、久々に原宿竹下通りに来られたというお客さまも多いので、人流を増やしているという自負もあります。オープン時のザ・ローリング・ストーンズのポップアップストアやAdoのポップアップストアの時には、原宿竹下通りのBGMをジャックして、街全体で楽しんでいただきました。
また、たまたまなのですが、昨年6月に「フェンダー」さんの世界初の旗艦店、10月には「ローランド」さんの直営店もオープンし、原宿が音楽の街になりつつあります。近隣のお店ともコラボレーションの機会を増やし、街全体を盛り上げていきたいと考えています。
――今後、どのようなことに取り組んでいきたいですか。
永井:ポップアップストアがオープンする度にコアなファンの皆さんが集まって、SNSが盛り上がっています。聖地巡礼のように遠方から来店するファンの皆さんも少なくありません。ライブの時とはまた違う反応が上がっていて、アーティストも好意的に見てくれています。
堀内:アーティスト自身もポップアップストアの様子をSNS等で発信してくださいます。アーティストの気持ちがこもると、ファンにもしっかりと伝わるというハッピーな連鎖が起こっていて、関わるスタッフもポップアップストアをやって良かった!と心から思います。
永井:UMSH自体が一つのメディアになって、アーティストとファンの皆さんをつないでいますよね。すぐ近くの本社で働いているスタッフも、UMSHに行けばファンの皆さんの笑顔を見られるので、みんな日々楽しみにしています。
坂井:本当にそうですね。ファンの皆さんに感動と体験を届けていくと同時に、アーティストにも利益を還元できる場でもありたいですね。個人的には、ライブ会場で販売しているグッズとは異なる切り口で、ラインナップを広げたいです。
堀内:目標は、アーティストからも「UMSHがあるからユニバーサル ミュージックを選ぶ」と言われる存在にすることです。実はすでに、UMSHでポップアップストアをやりたいので、ユニバーサル ミュージックと契約をしたいというアーティストもでてきています。海外も含む今後の展開も視野にいれつつ、アーティストとファンの接点をさらに増やしたいですね。社内的にも、「推し活」のニーズに応える日本発のビジネスモデルが注目され、グローバルスタッフの方々も頻繁に見学に来られています。そのような当ストアの可能性に日々ワクワクしています。